モールトン博士が無くなって早10年以上。
存命の頃から今でも変わらないトラス型のスペースフレームは自転車業界でも唯一無二の存在感で
「いつかは乗りたい」自転車として君臨し続けています。
ticketでも長らく取り扱いをしているmoultonですが、新車の販売と同様に多いのが手持ちのmoultonのレストア。
ブラッシュアップはしつつも長年変わらないスペースフレームのmoultonは
ご購入から長い間メンテナンスをしながら大事に使っている方が多いのも特徴。
特異なデザインをしつつも、使用するパーツは至って普通の規格とゆうのも長年愛用できる要因のひとつだと思います。
今回持ち込まれたtsr9はticketのお客様として長年moultonを乗っていただいている方の1台。
息子さんに譲ることになり、この機会にバシっと綺麗にレストアしようとご相談いただきました。
レストア内容の主だった箇所は
・フレーム再塗装
・フロントフォークのねじ切り加工
・バスケットに合わせたバッグの作成
・スタンドプレートの追加
再塗装を行うのでフレーム造作ができたので待望のスタンドプレートがついたのが
使い勝手的に非常に大きいポイント!
何かとスタンドと相性の悪いmoultonですから、このカスタムは価値あります。
バッグの製作など自転車屋の範疇に収まらない部分もあったりで色々なところにご協力いただき完成しました。
こだわった分、見た目も機能性も申し分ない仕上がりになっています。
お手持ちのmoultonや車庫で眠っているmoultonなど、レストアのご相談はいつでも承っております。
<<レストアのご相談に関するお願い>>
moultonは同じモデル名でも年式によりフレームの仕様が違うなど現車を確認しないとレストアやカスタムの可否がわからないことが多い自転車です。その為、お電話でお問い合わせいただいてもお答えできないことも多々ありますのでレストア及びカスタムについては店頭にてご相談ください
ベース車両:alex moulton “tsr9-sp”
フレームの再塗装の場合にはネジやその他のパーツを全て取り外してから塗装屋さんへ出荷します。
その後、再度フレームタップなどで下処理した後に組み上げをします。
塗装費用以外にも現在の塗装の剥離費用と上記の作業工賃が発生しますのでそれなりの金額になります。
moultonの場合は分割フレームであったり、フロントフォークも2ピース構造のため、塗装費用も一般的なフレームに比べて高くなります。
tsrの完成車はアヘッド仕様。ノーマルの完成車には角度を変更できる可変ステムがついていますがそれでもハンドル高の調整には限界があります。
今回は次に乗る方が身長の高い方だったため、スレッドフォークへ変更するねじ切り加工をした上で首下の長いnitto製ステムを使ってハンドル高をかなり高く設定できるようにしています。
ヘッドパーツとスペーサー、スレッドステムのシルバーの美しさがmoultonにもバッチリ似合いますのでルックス面でもおススメの加工です。
純正でのバスケットが出ていないmoultonでは荷物を積むのに何かと苦労しがち。
純正キャリアをつけてパニアバッグを使うなどしなくてはいけないのですが、日常使いでmoultonを使うお客さま多いticketではやはりバスケットが欲しいところです。
今回のtsrについているバスケットは過去に某工房にお願いして生産してもらっていたもの。
これもフレームと同色に塗装を行い、さらに専用バッグまで製作しました。バッグは京都の帆布を扱う会社さんが一点もので作ってくれたもの。
バスケットの現物からサイズをおこしてもらったので完璧な仕上がり。カーキの帆布が車体カラーにもよく似合います。
過去に製作してもらっていたこのバスケット。お願いしていた工房が多忙のため、生産の継続が難しくなり在庫が無くなって早数年。
過去のブログをご覧いただいてお問い合わせも沢山いただいていました。
現在、再生産に向けて話が少しずつ進行中です。まだ生産時期などは確定したわけではありませんが楽しみにお待ちください。
あわせてバッグも商品化すべく色々検討中です。
moultonに乗る際に荷物を積むのと同等かそれ以上に皆さんを悩ませるのが「キックスタンド」
トラス型のフレームではスタンドの取付が難しく、フレームを挟み込むタイプであれば取り付け自体はできるものの
フレームへの傷は覚悟の上でつけるしかない。
取り外し式の簡易型スタンドであれば、過去の経験を踏まえて色々模索したスタンドを都度加工して作っていますが
これはこれで日常使いには少し不向き。
それを解決できる一番の方法はもうこれしかない。
「フレームへのスタンドプレートの取り付け(溶接)」
今回はフレームを剥離・再塗装したので剥離前に毎度お世話になりますe.b.sの工房へ送って加工をいれてもらいました。
その後に塗装をするのでスタンドプレートもフレームと同色に仕上がるので元からそうであったかのような完成度です。
再塗装しない場合は熱をいれる関係で既存の塗装を傷めるため加工はおススメしません。
フレーム塗装を行うからできたカスタムですね。
今回のレストアは特別な加工が多かったため長くなりましたが、ここまで手を入れると新車のように復活してくれます。
加工以外の部分、コンポーネントなどはクリーニングとメンテナンスのみで流用しつつ、タイヤ・チェーン・ワイヤー類などの消耗部品は全てリフレッシュ。
これでまだまだ元気に活躍してることと思います。
最後に気になるお値段ですが、全て合わせるとおおよそ20万円ほど。
再塗装や加工が多かったため高額になりましたが、思い入れのある愛車を大事に大事に乗り続けるのも自転車の楽しみのひとつではないでしょうか。