バイカー連中に『今晩雨みたいですね』と訊くと、『これから大降りになるみたいだし、僕たちはここに泊まるからアナタもテント張ったらどうですか?』と言われ、悩んだ。私が行きたいところは、この先の角島なのだ。千畳敷は寄り道で、目的地はここではないのだ。しかし、今から移動して、日が暮れてきている中テント場を探し、着替えがないのに雨に濡れてはと考えに考えた。でも『僕たちと一緒に夕食どうですか?』の一言で『はい、じゃ、あっちの方にテント張りますと』と言って大急ぎでキャンプ場外の朝起きたら絶景が広がるかもってスポットにテントを張った。(これが大きな間違い!)バイカーは全ての調理器具と食料&酒類を揃えていた。スペアリブ、焼き鳥、鴨のダッチオーブン焼き、ピザ、焼き芋、きのこの炊き込みご飯。もう豪華すぎて覚えていない。リーダー格のチャーリーさんは全部で100kgくらい荷台に乗せてきたという。自転車では、こんなゴージャスな旅は無理だ。『ご飯が出来上がるまで、一緒にお風呂入りに行きませんか?』と一人の女性に声をかけられ、完全に体が冷え切っていた私は『行きたいですけど、もうあの坂を大雨の中下って、また登ってくるのは無理ですよ』と言ったら『もう一人行く人が車を出すんで、どうぞ』とのこと。事故を起こして車に乗りかえた人がいて、さらに家族連れはオートバイを卒業して車で来ていた。支度をしようとテントに戻ると、テントの下を5cmほどの水が流れている。それを見て泣きそうになった。これは、今晩テントが水没する。一睡もできないだろう。寝袋も水浸しになるだろう。着ているものもその時点でずぶ濡れだ。明日、発熱で身動きが取れなくなるのかもと不安に打ちのめされそうになりながらも、とりあえず手ぬぐいだけ持った。着替え=夜用のパジャマは寝袋に入る前に着替えよう。『車のシートびしょびしょにしてごめんなさい。宜しくお願いします。』と3人で峠の麓にあるお風呂屋さんに向かう。今日かいた汗はさっきの雨でもうすっかり流れた。ひたすら体を温めるために長風呂できない私はお風呂につかり続けた。しかし、着替えはびしょびしょ。あっという間に冷えきり待合室でガタガタしていると、お風呂屋さんが『バスタオルありますけど』と。風呂から上がったのにもかかわらず、滴ってましたからね。裸足で来たし。(雨が降ってきた時点で靴は履かずにテントにしまって、千畳敷では裸足だった。)バスタオル持って行って下さいと言われたので遠慮せずにいただき、裸足で車まで戻る。テントの中を見るのが恐ろしかったが、幸いまだ浸水はしていない。荷物を全て完全防水のオルトリーブパニエに入れ、寝袋と共に膨らましたマットの上に全て置いた。温かい夕食が出来上がっているというので、バイカーに合流。山口県民に続き愛媛、奈良、福岡、大阪県民にもご馳走してもらうことに。私はパンとチーズと緊急用のチョコレートしかない。本当にみなさんいい人たちで、この旅食べ物には困らない。自転車以外の乗り物でキャンプするとこうも違うのかと愕然としたが、こんな豪勢でワイワイキャンプは久しぶりだったし、こんな大雨の中一人テントの中で過ごすことにならなくて良かったと本当に心強かった。みんなより一足先にテントに入り、乾いた服に着替え寝袋に潜り込む。全ての荷物をマットの上に乗っているせいで、足を荷物の上に乗っける。キャンプサイトにテントを張らなかったのは、バイカー達が酔っ払ってドンチャン騒ぎになるからと思ったから。しかし、それが間違いの始まりだった。
チャーリーさんのBlog
http://charlie41.jugem.jp/?eid=40
到着してすぐ雨脚が強くなってきた。
みるみる視界が悪くなり、絶景はどこへやら。キャンプサイト外にテントを張る。
こっち側もあっという間に山々が霞んでいった。
夜はカメラを出す気にななれず、一枚も撮ってません。写真はチャーリーさんから許可を得てお借りしましたよ。