青海島への橋を渡った先にある食料品店で、その晩の食料がパンとチーズと梨だけだったから、おせんべいとスポーツ飲料を購入。『この辺りでテント張れそうなところないですか?』と訊いたら『シーサイドホテルの目の前なら、管理人さんの許可をもらえば張れるかもしれないよ』と言われ、海岸沿いを走る。シーサイドホテルというからには、小洒落たリゾート感満載なイメージだったが、行って見るとおじさん3人が浜辺で酒盛りをしている。折りたたみカヤックを組み立てている女子が3人いる。小洒落た感はさらさらなく、合宿所といったかんじ。酔っ払いに絡まれてはと素通りし、波の橋立を走る。細長い波の橋立は走って行っても、両脇に腰の高さくらいまである草木が生い茂っていてテントが張れそうでない上に、もう真っ暗だ。仕方なくホテルに戻って、いい感じに出来上がっているおじさん3人組に『今晩、ここでテント張っていいですか?』と訊くと、『泊まってけ。風呂も入っていけ。食べていけ。酒も飲んでいけ。』とものすごく上機嫌&またもやウェルカムモード。テント場だけで大丈夫ですと言っても、じゃ風呂だけでもと押せ押せだ。たまたまカヤックを組み立て終わったカヤックガールズ3人組もお風呂に入るというので、テントを張った後にご一緒にということになった。日本の風呂カルチャーは素晴らしい。出逢ってすぐ、風呂。素敵だ。裸の付き合いはいいもんです。ホテルのオーナーも、客であるにもかかわらずカヤックガールズも一緒の部屋に泊まって行けと言うが、私はテントで寝たいんです。せっかく東京から重たい思いして持ってきたし、自然の中で寝たいんです。山口の大地の上で寝たいんです。風呂から上がると、おじさん3人では食べきれないほどの食事/食料が浜辺のテーブルに並び、呼び寄せられる。持ってきたパンとチーズもテーブルの上に出し、7人で持ち寄り宴会だ。(毎度言いますが、私は下戸です)元々カヤックにすごく興味があったから、彼女たちに対して質問が絶えない。どんな川や海に行ったのか。装備は何が必要か。折りたたみカヤックはいくらするのか。3人の中でレジェンドと呼ばれているYさんは、私の憧れの地アラスカとパタゴニアに行ったことがあるという。日本の海川から世界の海川まで漕いできた女性だ。京都から来たRさんはカヤックを始めて数年といったところだろうか?Aさんが一番経験が浅いが、どっぷりはまっているらしい。ホテルのオーナーさんも気さくで気前がいい。もう一人のおじさんには無口。3人目は『あたな武道やっているでしょう?』『はい。』『空手でしょう?』『はい』『見た感じですぐにわかるよ』『そうですか?』『僕、刑事だったからね』と。怖~い!『歩き方と姿勢でわかるんだ。あなた、黒帯でしょ?』『はい』『それ以外にも武道やってるでしょ?』『はい。ブラジリアン柔術と合気道をやってました』『わかるよ。全部わかるよ』怖~い、元刑事!それから数時間くらい食べて飲んで喋って、22時になったらおじさん3人はバーに行くと言って『冷蔵庫のもの、なんでも食べていいよ。キッチンも自由に使って。飲み物もご自由に。で、22時半に岡山から2人お客さんが来るから、ホテルの説明して、鍵渡しておいてくれる?』と言って、出かけてしまった。気さくどころか、大っぴらというか、大胆というか、赤の他人にホテルを任せるとは、恐るべし山口県民。大好きだ。そして、自由だ。その後、車で到着した2人組にホテルのスタッフのように振る舞い、午前1時過ぎまで話し込み、彼女たちは合宿所で、私はヤタイ椰子の隣に張ったテントで眠りについた。
京都と東京から来て、山口県で合流したカヤックガールズ。かっこいい。
翌朝撮った写真。こんなロケーションにテント張れちゃいました。落ちていたヤタイ椰子の実も美味しかったよ。ぶちええわ~ね。
さらに翌朝。これがホテルのすぐ横にある、波の橋立。潮流の作用で礫と砂が直線状に堆積したもので1.3kmある砂洲。
前日テントを張ろうと思っていたところで、蛇発見。いつもはイノシシが心配だったが、これも嫌だなぁ。